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生成AIの普及で問われる「検索」の役割、Elastic社が語るRAGの可能性とは

【16-D-3】Elasticが目指す生成AI 活用の将来像

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 分散型RESTful検索/分析エンジン「Elasticsearch」を核として、検索のパワーを活かすソリューション群を提供するElastic株式会社。昨年の夏には、検索エンジンを拡張した生成AIを活用できる機能として、「Elasticsearch Relevance Engine(以下、ESRE)」を発表した。「生成AIの時代だからこそ、検索の重要性は増している」と語るのは、同社ソリューションアーキテクチャ・プリンシパルソリューションアーキテクト 杉本知洋氏。その真意とは?

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生成AI時代に問われる「検索」の役割

 Elastic社が創業したのは2012年。この10年間を振り返ると、GitHubのスター数10万3000以上、ダウンロード数420万以上、貢献社数3500以上、プルリクエスト18万3000以上、コミット14万8000以上、Elastic Cloud(Elastic社が提供するマネージドサービス)が1日で処理する検索リクエスト数60億以上となっており、検索を通じてデータ活用に新たな可能性を生み出すとともに、多くのユーザーに貢献してきたことがわかる。

 当初は、創業者が妻のためにレシピ検索アプリを作ろうと、オープンソースの検索エンジンライブラリであるApache Luceneをベースに構築されたElasticsearchは、「無料かつオープン」を志向しながら、ログ監視・アプリケーションパフォーマンス監視・インフラ監視・シンセティック監視・リアルユーザー監視など、さまざまな機能を追加しながら進化を続けている。

 ところが2023年、センセーショナルな事件が起きる。「検索」の世界しか知らなかった私たち恐竜のもとに、突如、「生成AI」という隕石が落ちてきたのだ。かつての歴史がそうであったように、隕石の衝突がもたらす環境の変化によって、私たち恐竜は滅びる運命を受け入れるしかないのか——。

 賢明な開発者たちは、新たな環境に適合すべく、生成AIをどう組み込めば良いのか、さまざまな実験を始めた。そこで浮き彫りになった課題が以下のようなものである。

  • ハルシネーション、誤回答……嘘の情報をあたかも本当かのように返答してくる。
  • 複雑な技術スタック……生成AIを組み込むには、いろいろな場所をAPIでつなぐなどしているうちに、構成が複雑になってしまう。
  • プライベートデータへのリアルタイムなアクセス……生成AIは汎用的なデータを学習しているため、最新の情報や業界特有の専門知識などが不足している。

 なかでも最も大きいのが、「プライベートデータへのリアルタイムなアクセス」だろう。この問題を解決するには、「ファインチューニング」と「RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索機能拡張生成)」の2つの手法があるが、ファインチューニングには相当な時間やお金のコストがかかってしまう。

 「だからこそ、すでに実績のある検索を活用した『RAG』を活用すべきであり、『検索は今まで以上に重要になっている』と言えるのだ」と杉本氏は強調する。

Elastic株式会社 ソリューションアーキテクチャ・プリンシパルソリューションアーキテクト 杉本知洋氏
Elastic株式会社 ソリューションアーキテクチャ・プリンシパルソリューションアーキテクト 杉本知洋氏

 「検索は生成AIに駆逐されるのではないかと思われるかもしれないが、まったくそんなことはない。Elasticはこれまで培った検索技術を用いて、プライベートなデータと生成AIの橋渡し役を担っていく」(杉本氏)

プライベートデータ(左)と生成AI(右)をつなぐにはElasticの培った検索技術が欠かせない。
プライベートデータ(左)と生成AI(右)をつなぐにはElasticの培った検索技術が欠かせない

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RAGを使うと、検索はどのように変わるのか

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

 フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山出 高士(ヤマデ タカシ)

雑誌や広告写真で活動。東京書籍刊「くらべるシリーズ」でも写真を担当。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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提供:Elasticsearch KK

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