SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2024 セッションレポート(AD)

KDDIのアジャイル開発推進ストーリー──進化する組織を支える開発生産性向上の秘訣とは?

【15-A-8】ゼロから大規模アジャイル組織への進化~推進者が語る立ち上げ背景と開発生産性~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

マネージャーの“頑張りどころ”──組織体制とマインドセットにおける課題は?

 続いて、「アジャイル推進をしていく過程での課題は?」という佐藤氏の質問に対し、岡澤氏は「紹介しきれないほどある」と答えた。その中でも「組織体制づくりについては、マネージャーの頑張りどころ。例えば、一般のWF案件では担当者が複数の案件を持っている場合が多いが、スクラムでは専任を推奨する。そのため1つの案件に集中できるように調整することが重要。その上で、人材不足については、教育や外部の活用を考えるべき」と語る。

 そして、マインドセットの課題については、「アジャイルに特化したことではないが、当事者意識やビジネスマインド比率が重要。チームで取り組む中で、プロフェッショナルであるという意識は持ってほしい」と述べ、「ここについても、リーダーの役割が重要であり、組織やプロダクトがどこを目指すのか、ゴールを明確化することが大切」と語った。

 組織のゴールを設定する際には、特に事業と開発を上手く融合させることが大事なポイントとなる。アジャイルやスクラムではゴールがビジネスに直結するために、技術とビジネスのつながりを意識しやすいのがメリットだ。岡澤氏は「チームメンバーには技術も磨いてほしいし、楽しく働いてほしい」と語り、今後について「楽しくエンジニアリングをすることで、それがビジネスに貢献していくという仕組みや風土づくりに取り組んでいきたい」と意欲を見せた。

アジャイル開発を推進する上での課題
アジャイル開発を推進する上での課題

アジャイルの推進役「オープンマインドなスクラムマスター」になるには?

 アジャイルの推進において、リーダーの役割が鍵になってくるのは間違いない。それでは、リーダーにはどのような資質が求められるのだろうか。

 岡澤氏は、かつてシリコンバレー系ベンチャーや元Googleメンバーと仕事をした経験からも、「多様性を受け入れスクラムマスターに似た感覚を常に持っていることが大切」と語る。つまり、オープンマインドで、メンバーやチームにどう貢献すべきかを考えながら、多角的な視点からビジネスマインドを醸成することが求められるわけだ。岡澤氏は特に、オープンマインドの重要性を実感しており、その実践により心理的安全性の担保やダイバーシティ実現など、さまざまな効果があったという。

 さらに、「オープンマインドなふるまいはコーチングにも似ている」と語り、「フィードバックは上からの指揮命令ではなく、共通の認識を持ってもらうための手段。メッセージから必要なものだけを拾ってもらえればいい。そのためにも前提合わせが重要」と語った。例えば、アジャイルをやっていない隣の組織に問題があれば、そこにも介入して問題を解決するきっかけを作る。こうした越境を可能にするオープンマインドな姿勢ときっかけ作りを目指す姿勢が、アジャイル推進のリーダーには求められているというわけだ。

 「ポジションが上がれば、見えてくる景色が変わる。チームだけを見ていた人が、その1つ2つ上の目線から組織を見られるようになると、自ずと行動が変わってくるだろう。その意味で、スクラムマスターという表現がふさわしいのではないか」と語った。

推進をするにあたっての必要な役割とは
推進をするにあたっての必要な役割とは

次のページ
急激に拡大する組織で一人ひとり開発生産性を担保するには?

関連リンク

この記事は参考になりましたか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Developers Summit 2024 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:ファインディ株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/19254 2024/04/23 10:46

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング