先月末アップルの新しいタブレット型端末「iPad」が発表されましたが、
出版社に勤める身としては、やはり電子ブックの動向は気になるところ。
主要な電子ブックのロイヤリティ上限も70%に上がってきたという話もあり、
通常 紙の書籍の本体価格に対し出版社:取次(流通業者):書店の取り分は
約7:1:2なので、端末の普及数や上限価格次第ではビジネスとして参入する
目処が見えてきたと言えるかもしれません。
ちなみに筆者の印税は本体価格の6~10%くらいが相場ですが、紙の場合と違い、
紙代や倉庫スペースが不要で、売れ残った場合のリスクを出版社が負うこと
もないので、この辺は改善(筆者の取り分が増える)の余地がありそうです。
もちろん、書き手自身が文章の校正や、売れる書名や装丁の工夫、権利確認な
どの問題をクリアできるようであれば、出版社を介さずに丸々利益を総取り
することも可能性でしょう。
とはいえ、よく再販制度つながりで音楽業界とリンクして取り沙汰されるもの
の、楽曲のようにたくさん購入するのか(端末価格分をペイできるのか)、書
籍を章単位で購入する需要はあるのか、など気になる点は多々あります。また、
既存のビジネスモデルを手堅くやるより儲かるとは考えにくいので、当面会社
として積極参入する気配はなさそうですが、個人的にはちょっと試してみたく
はあります。
例えば、米O'REILLYの「Open Feedback Publishing」(刊行前の校正をオンラ
インでオープンに行うもの)や、米Manning Publicationの「MEAP」(先行投資
のような形で刊行前の内容が読めてしまう)などはWeb的で非常に面白いと考え
ていて、紙の刊行物のビジネスとしてうまく成り立つのかが懸念事項だったの
ですが、電子ブックであれば、その辺のリスクなく行えるかもしれません。
OSS的な手法で、モダンで実用的な究極の入門書を作るプロジェクトなどを
チャレンジできると面白そうですね。



