こんにちは、斉木です。
先日、『モノからモノが生まれる』という本を読みました。主に工業デザインをテーマに語る学芸書なのですが、ソフトウェア/システム開発に従事している方にも問題解決の手順や企画の面で参考になる点が多いかもしれません。
いくつか印象的な部分を紹介します。
「企画するのは、そのやり方を知っていれば簡単なこと」
「創造力とは、方法のない即興を意味するのではない」
筆者のブルーノ・ムナーリは、まずこのように述べます。総括すると、企画の方法とは、経験から論理的に順序付けられた一連の必要な作業のことで、最小の努力で最大の成果に到達するのが目的。すぐにアイデアを出そうとアーティ スティックに考えるのはよくないとし、事前調査や分析、客観的な視点の必要性を強調します。
具体的には、冒頭でデカルトの言葉を引用しているように、
1. 先入観を捨て慎重に正しいことを見極める 2. 問題を必要十分にできるだけ分割 3. 単純なものから複雑に、順序よく思考を導く 4. 最後に全体を入念に再確認する
といった内容を掘り下げる形。
また、車輪の再発明はムダといったことも指摘しています。
「大衆は総じて、単純化のために必要とされる頭の“大仕事”よりも、複雑なものを作り上げるために必要な手の“大仕事”を評価したがるもの、ということだ。なぜなら、頭の“大仕事”はあとでは目に見えないから」
確かに、コードの行数はプログラムの品質と必ずしも相関しません。個人的に初めて美しいと思ったソースコードは、Cで実装したFFT(高速フーリエ変換)でした。細かい数式に基づいていますが、コードにするとたった数行。
最近は見た目や機能がシンプルで面白いネットサービスを多く見かけますが、その辺でも背景を想像してみると、また新しい発見がありそうです。
「クリエイティヴな人間とは、豊かな能力をもつ人間のことであり、自身の問題を解くのに多くのエキスパートを必要としない人間のことである」
そのためには普段の下地づくりがポイントとなりですね。普段とは異なる開発言語を使ってみる、プログラミング以外のモノづくりを体験してみるなどもよい刺激になるでしょう。
この辺を突き詰めていくと、いわゆる「ハッカー」と呼ばれる人に近づいていくのかもしれません。
書籍の後半はケーススタディが中心なので、興味のある人は前半だけ読んでもよいと思います。
また、企画や発想法という意味では、もともと広告業界を対象にした書籍ですが、『アイデアのつくり方』も似たようなことをいっています。ページ数が少なく、あっという間に読み終わるので、こちらもお奨めです。



