はじめに
今回は2010年4月に発売された「FileMaker Pro 11」の新機能のうち、業務アプリケーションを構築する上で便利と思われる、データの集計・可視化(グラフ)、レイアウト編集、セキュリティといった機能に絞って紹介します。
なお、この連載ではスクリーンショットにMac OS X環境のものが使われることが多いですが、FileMaker ProはMac版とWindows版が存在するクロスプラットフォームのアプリケーションです。OSに依存する一部の機能を除いて基本的に同じ機能を備えています。本稿ではOS依存の機能は扱いませんので、どちらの環境でも同じように動作するとお考えください。
対象読者
- FileMaker Proでの開発に興味がある、検討しているIT技術者の方。
グラフの作成
グラフ機能はFileMaker Pro 11の目玉とも言える新機能で、プラグインなしにFileMaker Proの機能だけで実現できます。また、グラフの集計方法をある程度ユーザーに任せることもできるので、さまざまなパターンを想定して開発する手間を省くことができます。フォーマットを決めてしまえば、リアルタイムに現時点での販売データを瞬時に出すことも可能です。
FileMaker Pro 11では下記5種類のグラフを作成することができます。
- 棒グラフ
- 水平棒グラフ
- 線グラフ
- 面グラフ
- 円グラフ
グラフへのデータの渡し方は3種類あります。それぞれの使い分けは以降、グラフの具体例とともに説明します。
- 現在の対象レコード……検索で絞り込んだ状態のレコード
- 現在のレコード(区切りデータ)……現在表示している1レコード
- 関連レコード……リレーション先の複数レコード
棒グラフ、円グラフ
支店ごとの売上を棒グラフ、水平棒グラフ、円グラフで表現したものが図1です。
図1ではデータの使用元に「現在の対象レコード」を指定し「ソート時にレコードのグループのデータポイントを表示」のチェックを入れています(図2)。この方法でグラフを作成すると、ユーザーが検索してデータを絞り込んだ際に、リアルタイムにグラフを変化させることができます。例えば、東京と大阪だけの売上データが対象レコードになるように検索すると両支店だけを比較するグラフになります。
このようにグラフの背景色やラベルの文字の大きさ、軸の最大値など、表示方法を細く設定することが可能です。背景色を透明にしたり、グラデーションをかけるたりすることもできます。各グラフ要素の色はあらかじめ用意されているものしか使えませんが、配色パターンは20種類用意されているので困ることはないでしょう。
線グラフ、面グラフ
次にデータの使用元に「現在のレコード(区切りデータ)」を指定し、線グラフと面グラフを作成した例を示します。区切りデータとは、下図の右側のように改行で区切られたデータを指します。
フィールドに改行で区切られたデータを入力することで、各軸の値を設定することができます。このように時系列のデータを扱う場合は、3つの「データ使用元」のうち「現在のレコード(区切りデータ)」が一番表現しやすく、思い通りのグラフを表示させやすいでしょう。
各系列のデータは下図のように指定します(ここでは3つのフィールドを設定)。
「データの使用元」で「関連レコード」を選択した場合は、当該テーブルからリレーションが設定されたテーブルのレコードを元にグラフを表示します。例えば、「支店テーブルの場合に支店ごとの売上をグラフにする」といったことができます。
グラフの保存
データの使用元に「現在対象のレコード」を指定した場合、対象レコード数やソート条件を変更すると、グラフの表示内容も変わってしまいます。作成したグラフを残しておきたい場合は、オブジェクトフィールド(図、映像、音声といったファイルを扱えるフィールド)を利用します。
グラフオブジェクトに名前を付け、「フィールド設定」というスクリプト内で下記関数を実行することでPNGファイルとして保存できます(ここではグラフオブジェクトに「Gra」という名前を付けています)。
GetLayoutObjectAttribute ( "Gra" ; "content")
図6では右側で、グラフをオブジェクトフィールドに画像として保存しています。右クリックし「フィールド内容のエクスポート」を選択するとPNGファイルとしてローカルに保存できます。ユーザーがプレゼン資料などに使いたい場合はこの方法を使って画像ファイルとして取り出すか、グラフオブジェクトをクリックして選択した状態にしてコピーすればクリップボード経由で他のアプリケーションに貼り付けることができます。









