日本Ruby会議2008 詳細レポート 後編
arton [著] 2008/06/26 11:00

本稿では、前編に引き続き、日本Ruby会議2008のセッション内容を紹介する。2008年のRuby会議は「多様性は善」というテーマにふさわしく、いろいろなレベルで多様性が強調されたものだった。

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基調講演とM17N

 日本Ruby会議 2008 初日午後のメインセッションでは、まつもとゆきひろ氏による基調講演に続いて、成瀬ゆい氏とMartin J. Durst氏によるRuby 1.9から取り入れられたM17Nについてのセッション(Ruby M17NRuby M17N)が行われた。

M17Nという表記
 発表者の成瀬氏の6月23日の日記で、L10N、I18N、M17Nそれぞれについての説明と、\w\d+\wという呼称の起源についてのリンクが公開されている。

 まつもと氏は、Rubyの特徴として次の4点を挙げた。

  • 温故知新
  • Rubyの特徴は、古くからある(しかし良い)技術の利用であるとして、次の3点を示した。
    1. Lispに由来するメタプログラミング
    2. Smalltalkに由来するOOP
    3. Unixに由来するPOSIX API偏重
     
  • Feeling Matters
  • Rubyの2番目の特徴として、人間に着目し、プログラミングを楽しめることを目標としていることが説明された。
     
  • Agility Matters
  • 変更要求に対応し、変化を受け入れることが説明された。
     
  • Ruby on Rails
  • Rubyが持つ生産性、俊敏性、動性のイメージを決定付けた存在であり、まつもと氏によれば「僕よりずっとマーケティングがうまい人が作った」Webアプリケーションフレームワークである。
    確かに、Ruby on Railsの存在は、Rubyの特徴の一つである。

 なお、Ruby自身の3点目については、2日目に行われた田中氏によるセッション――『matzを説得する方法』の内容を加味する必要がある。当然であるが、要求には誤っているものや問題とならないもの、あるいは正当であってもそうは見えないものがあるからだ。

 また、2点目に挙げられたFeeling Mattersについては、2006年度のRuby会議での同じく田中氏による『使いやすいライブラリ API デザイン』が参考になると思う。

 さらに、セッションの間中、氏はMagLevというRailsConfで彗星のように登場した異なるRuby実装について常に言及していたが、その理由として、

  • Rubyの原点の1つであるSmalltalkの実装に密に関連している
  • どこまで本当か不明な驚異的な速度
  • バックエンドのOODBの存在

 を挙げた。

MagLev
 MagLevについては、Smalltalkエバンジェリストのsumim氏による『MagLevについて調べてみた』が詳しい。

 人によっては別の見方もあるだろうが、筆者は、まつもと氏のSmalltalkやLisp、およびDHHへの言及にみられるFeeling Mattersが好きだ。

 続くM17Nのセッションについては、Ruby 1.9でのStringクラスのメソッドの追加や実利的な内容の他、会場からの質問によって仕様の検討が始まるなどの俊敏性が興味深かった。


プロフィール
arton アートン

専門は業界特化型のミドルウェアやフレームワークとそれを利用するアプリケーションの開発。需要に応じてメインフレームクラスから携帯端末までダウンサイジングしたりアップサイジングしたりしながらオブジェクトを連携させていくという変化に富んだ開発者人生を歩んでいる。著書に「Javaプログラミングの処方箋」等がある。


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