.NET開発者のためのWebサイト制作入門(前編)
小濱 良恵 [著] 2007/10/22 14:00

本稿では、マイクロソフト社のWebオーサリングツール「Microsoft Expression Web」を利用して、Webサイトを構築する方法を紹介します。前編の今回は、Wordライクな操作性、Web標準への準拠、ASP.NETとの連携といった、Expression Webの特長について触れます。

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はじめに

 IT業界の外にいる一般の人たちは通常、開発者に対して「プロなんだからパソコン関係は何でもできるでしょ」と思い込んていたりしますよね。

 例えば、デザイン部分を担当したことのないASP.NET開発者が、友人から「起業したので会社のサイトを作って! おまえさんプロなんだからできるでしょ。頼むよ」と不意に頼まれ、結局引き受けてしまった。こういったケース、結構ありうるんじゃないでしょうか。

 本稿では、このようなストーリーをベースに、ASP.NETとの連携にも優れたマイクロソフト社のWebオーサリングツール「Microsoft Expression Web」(以下、Expression Web)によるWebサイト制作方法を解説します。前編の今回は、Expression Webの特長を中心に紹介していきます。

対象読者

  • はじめてWebサイトを制作する方
  • デザイン部分も担当する必要があるASP.NET開発者
  • XHTML+CSSベースのWeb標準サイトを効率的に構築したい方
  • 友人にサイト制作をムチャ振りされた可哀想な方

必要な環境

  • Windows Vista、Windows XP Service Pack 2、またはWindows 2003 Service Pack 1以上
  • .NET Framework 2.0以降
  • Microsoft Expression Web

ASP.NET開発者に最適なWebオーサリングツールとは?

 田中君はASP.NETプログラマ。先日、起業したばかりの友人の佐藤君が電話で「俺の会社のWebサイト作ってくれよ!」と依頼してきました。

 田中君は自分のブログは持っていますが、今までWebサイトを作ったことがありません。「俺、プログラマだけど、Webデザイナーじゃないよ」と佐藤君に言いました。

 しかし、佐藤君から「別に凝ったサイトじゃなくていいんだよ。シンプルで分かりやすいサイトでいいからさ。お前さん、コンピュータに詳しいプロなんだろ? 頼むよ!」と言われてしまいました。

 佐藤君の強引な頼みに田中君は断りきれず、結局Webサイトの制作を引き受けることに……。

 その後、田中君は上司に相談したところ、「Expression Webを使ってみたらどう? デザインも簡単にできるし、ASP.NETと連携できるからWebフォームなども作りやすいと思うよ。それに、Microsoft Officeに近い使い勝手だから、クライアントが自分で更新するのも簡単だし」と提案されました。

Expression Webのポイント

正確なレンダリングエンジンを搭載

 Expression Webでは、正確なHTMLレンダリング(ブラウザと同じように表示すること)エンジンを搭載しています。したがって、実際の完成イメージのまま作業できるため、より感覚的に、快適に、Webページを作成することができます。

 今まで他のWebオーサリングツールでうまく表示できなかったWebページの編集も、Expression Webを使えば、より効率的に作業が行えます。

Web標準サイト構築に最適

 Web標準とは、国際的な標準化団体(W3C)によって策定された、Web技術仕様に関する規格です。

 従来、インターネット上のWebページは、文書構造と書式(スタイル)が混在していました。つまり、見出しや段落といった「文書構造」と、文字の大きさや文字修飾(太字に変えたりアンダーラインを引いたり文字の色を変えたりなど)、レイアウトといった「書式」が密接に結びついていた訳です。

 しかしこれだと、Webページを閲覧用と印刷用で切り替えたり、視力の弱い方に対して文字を大きくしたりと、環境によって見映えを変更するのに、ページ全体を修正する必要があり不便です。また、文書構造とデザインが混在していることで、メンテナンス性も悪くなります。

 そこで、文書の論理構造だけをHTMLに、その他の見映えの部分はスタイルシート(CSS)にして別々に管理しよう、となりました。これに基づいて作られたWebサイトが、Web標準に準拠したサイト、ということになります。

 Web標準に準拠したサイトを構築すると、以下のメリットが生まれます。

  • どのブラウザ、OSにも対応したサイトになる
  • サイトの更新・リニューアルがスムーズ
  • 健常者だけではなく、高齢者の方や障害者の方にもアクセスしやすいサイトになる(Webアクセシビリティの向上)
  • 検索エンジン最適化(SEO)の効果があり、サイト来訪者が増える

 Expression Webでは、デザインビューでMicrosoft Office Wordのような感覚で、文字の色やサイズを変更したり、背景を変えたり、マージンや余白などの調整をすることができ、その結果はすべてスタイルシートで出力されます。Web標準に準拠したサイトを効率的に構築するのに最適です。

Expression Webで対応しているHTMLスキーマ

  • HTML 4.01 Frameset
  • HTML 4.01 Strict
  • HTML 4.01 Transitional
  • XHTML 1.0 Frameset
  • XHTML 1.0 Strict
  • XHTML 1.0 Transitional
  • XHTML 1.1

対応しているCSSスキーマ

  • CSS 1.0
  • CSS 2.0
  • CSS 2.1
  • IE 6

Expression Webのコードビューでの編集

IntelliSenceで楽々コーディング

 Expression Webでは、インテリセンスを搭載しています。HTMLの属性に限らず、JSファイルやCSSファイルにリンクしている場合は、その名前も候補に表示されるようになります。

divタグを入力すると、属性が候補としてリストアップ
divタグを入力すると、属性が候補としてリストアップ
class属性を入力後、CSSファイルに存在するクラス名が候補としてリストアップ
class属性を入力後、CSSファイルに存在するクラス名が候補としてリストアップ

W3Cに準拠しないHTMLのコードエラーをすばやく検出

 開発者の中には、いかにきれいなコードを書くか、とにかく汚いコードは許せない、という方も多いのではないでしょうか?

 Expression Webでは、W3Cに準拠しないHTMLのコードエラーをすばやく検出するので、Web標準に則ったHTMLコーディング作業が容易です。

互換性のないHTMLの検出
互換性のないHTMLの検出
正しいコードは次のとおり
<ul>
  <li>開発者向け<ul>
    <li>Visual StudioのTips</li>
    <li>C#に関する話題</li>
    <li>Visual Basicに関する話題</li>
    <li>ASP.NETのサンプル紹介</li>
  </ul>
  </li>
  <li>トラベル<ul>
    <li>アメリカ旅行記</li>
    <li>北海道旅行記</li>
  </ul>
  </li>
  <li>車・バイク<ul>
    <li>車に関する話題</li>
    <li>バイクに関する話題</li>
  </ul>
  </li>
  <li>プライベートコンテンツ<ul>
    <li>日常の日記</li>
    <li>自分の子供自慢</li>
    <li>ペットの話題</li>
  </ul>
  </li>
</ul>

 また、終了タグに対応する開始タグがない場合、このように黄色のマーカーで強調されます。たとえ対応する開始タグが存在していても、入れ子関係が不適切な場合はエラーとして返されます。

HTMLのエラー通知
HTMLのエラー通知

知りたい情報にすばやくアクセス

 コード中の属性値はリンクになっていて、そこからすぐにリンク先にアクセスできます。属性にマウスカーソルを合わせ[Ctrl]キーを押すと、マウスカーソルが指の形に変化するので、その状態でクリックすることで、対象となるリンク先にすばやくアクセスできます。

[Ctrl]キーを押しながらクリックすると...
[Ctrl]キーを押しながらクリックすると...
リンク先のファイルを閲覧できます
リンク先のファイルを閲覧できます

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INDEX
Expression WebでWebサイトを作ってみよう (1)
Page1
はじめに
対象読者
必要な環境
ASP.NET開発者に最適なWebオーサリングツールとは?
Expression Webのポイント
Expression Webのコードビューでの編集
Expression Webで用意されているテンプレート
スタイルシートの適用と管理
検索と置換ツール
XMLデータの利用
ASP.NETとの連携
まとめ
プロフィール
小濱 良恵 コハマ ヨシエ

Microsoft MVP for Expression Web
MSソフトの解説書やWeb記事を執筆するテクニカルライター。Expression Webの前身となるFrontPageは2000バージョンから使用しはじめ、個人サイト(www.wanichan.com) においてFrontPageやExpression Webをはじめ、Microsoft Office全般などの総合情報&Tipsを公開中。2005年4月から3年間FrontPage MVP、2008年4月からExpression MVP、2009年7月以降は Expression Web MVP として、Expression WebおよびFrontPageの技術情報の提供と質疑応答を行っている。また、Expression に特化したオフラインコミュニティ、ExpressionTech.jp の運営メンバーでもある。近著に、和書として初のExpresion Web 2のマイクロソフト公式解説書、『ひと目でわかるMicrosoft Expression Web 2』(日経BPソフトプレス発行)、および、Expression Web機能解説書、『Expression Web 標準ガイドブック』(毎日コミュニケーションズ発行)がある。好きな食べ物はチョコレート。
→その他Tips & FAQ情報:Expression Webを使ってみよう
 


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